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京町家の借家に住もう!内覧チェックポイントや契約内容について

2022/03/28

賃貸豆知識

京町家

現在多くの外国人観光客が訪れる日本ですが、とりわけ京都の人気は絶大です。彼らは、私たち日本人自身が忘れていた「和の心」に魅力を感じ、その象徴である京都や、京都にある昔ながらの建築物を楽しんでくれています。
中でも、京都にまだ数多く残っている京町家と呼ばれる古民家は、京都の古き良き景観や空気を形作るものであり外国人観光客に大人気。京町家のその魅力は現代の欧米式の生活様式にすっかり慣れてしまった私たち日本人にとっても同じことで、近年は京町家に住みたいという声も沢山あがっています。京町家は借家に出されていることも多く、京都で暮らすとなれば大いに魅力的な選択肢の一つです。
今回は京町家の魅力を今一度整理しつつ、借りる際の内覧チェックポイント、借家契約の内容について解説していきます。

京町家の魅力

京町家

京町家の特徴は何といっても古き良き木造建築です。欧米は基本的に古い時代から石で家を建てていたものですから、その点も京町家が刺激的に見えるのかもしれませんね。木が豊富かつ地震大国であった日本の家は、建て替えが容易な木造建築が一般的でした。その風情のある景観が、かつての都であった京都全体のイメージを形作っていたため、現代においても一目でその歴史と日本らしい印象が感じられるのです。
京町家は、遡れば平安時代の町割りを下敷きにしており、現在の建物の原型は江戸時代中期に形成され、伝統を大切にしたまま職住一体型の住居として歴史を重ねてきました。その和風建築としての美しさが計算しつくされた外観や、他の建築とは一味違う工夫の間取りなど、京町家の主な特徴は以下のようになっています。

格子(こうし)

京町家の入り口は、部屋の中に光を取り入れることを重視。また、中からは外が見えますが、外からは中が見えづらいようにプライバシー問題にも対応しています。格子の種類やデザインは多々ありますが、その中でも柱壁よりも突き出した形状で作られたものは出格子と呼ばれています。

虫籠窓(むしこまど)

京町家には厨子二階という、低めに設定された二階があることが多く、そこに設置された塗り壁の窓のことです。多くは真っ白に塗られていることが多く、形状がむしかごに似ていることからこのように呼ばれています。

鐘馗(しょうき)さん

魔除けとして屋根の上に鐘馗さんをかたどった瓦人形が置かれます。鐘馗さんとは、中国の鬼神のひとつで、疫病を防いで学業成就の効があるとされる、いわば守り神のようなものです。

土間/通り庭

昔ながらの町家ゆえに、炊事場が土間にあることも多いです。表から裏口まで続く土間を通り庭と呼び、奥行きのある京町家の構造を象徴しています。そこは人や風の通り道にもなっています。

続き間

京町家においては、隣室を通って別の部屋へ入る続き間の和室が多くみられます。家族の交流が生まれやすい、古き良き間取りです。

隠し階段

狭いスペース部分を有効活用するために、階段の下部分が押し入れの扉で隠れている家もあります。傾斜が少し急なため、高齢者の方が住まうのには向かないかもしれませんが、子供たちにとってもワクワクする昔ながらのロマンを感じる構造ですね。

縁側

和風建築の醍醐味である、板敷きの通路です。ここで感じられる風情が町屋の魅力そのものと言いたくなりますね。光をたくさん取り入れてくれるのもこの部分。

坪庭

建物の奥、或いは途中に設けられる小さな庭。光を取り入れることにもつながりますし、風通しを良くする役割もありつつ、より日本家屋としての風情を高めます。

以上のような部分が、一般的に京町家に見られる特徴です。どれも京都文化の奥ゆかしさとユニークなアイデアが表れていますね。

借家を借りる際の内覧チェックポイント

京町家

長年の歴史がある京町家は、その風情を楽しめる反面、現代人の生活環境としては少々不便な面が多いです。内覧の際にしっかりとチェックしておくべきポイントをまとめておきましょう。
・ゆかのきしみ具合
・蛇口や水回りの清潔感
・屋根は瓦が傷んでないか、雨漏りは大丈夫か
・耐震のための補強工事が行われている物件なのか、単純に建物の状態は安全なのか。
・どれほどリノベーションされ、生活インフラが整っているか
写真を撮っておいて、退去時にトラブルにならないように証拠を残しておくことも必要かもしれません。京町家を借家として利用しようという動きそのものは既にポピュラーである反面、整備が中途半端なまま使用されている物件も残念ながらあります。じっくり自分の目で確かめましょう。

借家契約2種の内容説明

賃貸の際、借主と貸主の間で契約が交わされますが、その賃貸住宅の契約は主に2種類あります。「普通借家契約」と「定期借家契約」です。わかりやすく解説します。 まず、この契約というのは「更新料」に関する事項です。入居の際に借家契約を結び、契約した年数を暮らしたとします。そして、「今後もこの部屋に住みたい」となった場合は、住み続けるために契約の「更新」を行うわけです。この際に、更新料や更新事務手数料が必要となります。

普通借家契約

① 部屋を借りている側から「途中解約」を行うことは自由
② 部屋を貸している方から「解約」もしくは「契約更新」を断る場合は、「正当な理由」を必要とする(例:貸主が戻ってきてその家に住むことになった、売却の必要がある等)
一般的に普及されている契約はこちらです。貸主から解約するための「正当な理由」というのが曖昧で、実際なかなか認められることはありません。なぜなら借りている側が、突然住むところを失うことになるからです。つまり、借りる側は悪さをしない限り、不当な理由で賃貸を追い出され、住む場所を失うということはありません。
しかし貸主としても、次の借主に貸し出すためには、老朽化した物件をそのままにはできないので建て替えたいわけですが、「建て替えを理由に」契約を解除することはできないことを考えると、うかつに空き室を次の人に貸し出すことはできません。 まして木造の古い家屋である京町家は火災や地震に対して対策が必要なのに...そのような状況を考慮して、2000年より施行された新しい法律がもうひとつの「定期借家契約」です。

定期借家契約

① 契約年数は自由(1年未満も可能。物件ごとに事前にしっかりチェックを)。
② 部屋を借りている側から「途中解約」するにも、正当な理由が求められる(急な転勤などは認められる)
③ 交わした契約書の期間が満了すると、契約終了で更新ができない
④ 借主と貸主、双方の合意があれば再契約はできる

つまり定期借家契約は貸主の目線に沿っています。あまり貸主にとってメリットはないので、普通借家契約で賃貸できる方が基本的には良いはずです。しかし、京町家の賃貸となると、定期借家契約をしている貸主のほうが、より物件に気を使い整備している可能性が高いとも言えるので、一概にこちらの契約が悪いとも言えません。

最後に

京都での町家での暮らしに憧れる人は増えていると思います。生活面で少し不便な面もありますが、それを補って余りある魅力と刺激が京町家の生活にはあるでしょう。また、外装はそのままに内装やインフラを再整備した物件も多数存在します。
京都に住むなら京町家に住んで、和の心にゆっくり染まってみてはいかがでしょうか。